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食道・胃・十二指腸の疾患

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは

逆流性食道炎とは 食べ物を食べると、胃の中に入り、胃酸を含む胃液によって消化されます。 胃液は胃酸を含む刺激性のある液体なので、通常は食道に逆流しないようになっていますが、その機構がうまく働かず胃液が逆流してしまうことで、食道粘膜が刺激され炎症を起こすことがあります。この状態を逆流性食道炎と言います。

原因 食道と胃の境目は噴門と呼ばれ、下部食道括約筋によって締め付けられていて通常は胃酸が逆流しないようになっています。しかしこの噴門の位置がずれることで下部食道括約筋の締め付けが効かなくなり、噴門が緩んでしまうことがあります。これを食道裂孔ヘルニアと言います。噴門が緩んでしまうと胃液の逆流が増え、逆流性食道炎が起こります。逆流性食道炎にはこの食道裂孔ヘルニアが大きく関わっています。原因としては年齢や体質の他、肥満や喫煙も影響しています。 また逆流による粘膜障害が持続すると、そこの食道がバレット食道という特殊な粘膜に置き換わってしまうことがあります。バレット食道は通常の食道よりもがんが発生しやすいので、広範囲にバレット食道がある方は注意が必要です。

症状 胸やけ、苦いものがこみ上げる、げっぷ、腹痛や不快感の他、のどのところにまで影響して、咽頭痛や違和感、声の枯れ、咳などが起こることもあります。

検査

検査 胃カメラ検査を行うことで、食道裂孔ヘルニアの有無や逆流性食道炎の程度(ロサンゼルス分類)が分かります。

食道裂孔ヘルニア

Grade N Grade N 内視鏡的に変化を認めないもの
Grade M Grade M 粘膜傷害は認めないが、色調変化を認めるもの
Grade A Grade A 5mm以下の粘膜傷害
Grade B Grade B 5mmを超える粘膜傷害
Grade C Grade C 2条以上の粘膜ひだにまたがる粘膜傷害
Grade D Grade D 全周の75%を超える粘膜傷害

草野 元産 編:GERD+NERD 診療 Q&A.日本医事新報社,P81, 2011

Grade N Grade M Grade A Grade B Grade C Grade D

春日井邦夫ほか:逆流性食道炎の診断を正確に行うコツ.日本消化器内視鏡字会雜誌2014; Vol56(5): P1804-1812

治療 まずは食事を中心とした生活習慣の改善が大切です。脂っこい食事、お酒、たばこが逆流を増悪させるのでできるだけ避けた方がよいです。また食事をとる時間が不規則であったり、特に夜遅く食べてすぐ寝たりすると逆流が増えます。朝食・昼食を多めにとり、夕食を少なくした方が逆流は防ぐことができます。 それでも改善しない場合は胃酸を抑える薬(PPI・PCAB)を飲むことで、かなり症状を抑えることができます。しかし逆流自体を根本的に抑える薬はないので、薬の服用をやめると再発することがしばしばあります。 多くの方は生活習慣の改善と内服薬で症状は落ち着きますが、それでも改善しない場合や薬が手放せない場合などは、これまでは外科手術しか根本的な治療方法はありませんでした。しかし近年胃カメラによって治療をする内視鏡的逆流防止粘膜切除術(ARMS)が開発されました。当院院長はARMSを行っておりますので、逆流性食道炎でお困りの方はご相談ください。

食道がん

食道がんとは 食べたものが胃へ運ばれる最初の消化管が食道です。ここに発生したがんが食道がんです。食道がんは転移したり周囲の臓器へ浸潤しやすく、進行すると治療が難しいがんの一つです。 食道がんには扁平上皮がんと腺がんの2種類があります。 日本では90%以上が扁平上皮がんですが、欧米では腺がんの方が多くみられます。食生活の変化や肥満に伴い日本でも腺がんが増えてきています。

原因 扁平上皮がんの主な原因はたばことお酒です。特に量の多い方や、お酒を飲むとすぐ顔が赤くなる方は危険性が高いと言われています。 腺がんは逆流性食道炎が原因となります。逆流が持続的に続くと食道粘膜が障害されてバレット食道という特殊な粘膜に置き換わります。このバレット食道から腺がんが発生しやすくなります。

症状 早期の段階ではほとんど自覚症状がないため胃カメラ検査で偶然見つかることが多いです。進行してくると、胸部違和感・しみるような感じ・食べ物のつかえが出てきます。

検査 胃カメラ検査によって食道がんの有無を診断することができます。また、一般的にごく早期の食道がんは胃カメラ検査でも見つけにくいことが多いのですが、当院ではオリンパス社の新しい機器である「EVIS X1」を使用し、NBI(Narrow Band Imaging)拡大観察という特殊な観察法を行うことができます。これによってわかりにくい食道がんも見つけやすくなり、当院院長もこれまで小さな早期の食道がんを多数検出してきました。

食道がん検査

*早期食道がんの一例
10mm足らずの早期食道がんです。通常の観察方法ではあるのも分かりづらいですが、NBI観察によって茶色になって分かりやすくなっています。さらに拡大観察することで血管を詳細に観察し、がんかどうかを診断することができます。

治療 早期に発見することができれば負担の少ない内視鏡による治療である粘膜下層剥離術(ESD)により完治させることができます。 進行してきた場合は手術・放射線治療・抗がん剤治療などが行われます。進行してしまうと治療がかなり難しくなることが多いので、早期に発見することが非常に大切です。

粘膜下腫瘍(食道・胃・十二指腸・大腸)

粘膜下腫瘍

粘膜下腫瘍とは 粘膜下腫瘍とは粘膜の下にできものが発生したものを総称して呼びます。 がんは粘膜にできるので基本的にはがんではありません(ごくまれに特殊ながんである場合もあります)。粘膜の下の組織(脂肪・筋肉・血管など)ができものになり粘膜下腫瘍になっていて、良性であることが多いですが、中には悪性の腫瘍ができることもあります。悪性の腫瘍として代表的なものがGISTです。

原因 発生する原因ははっきりしていません。

症状 ほとんどの場合無症状で胃カメラ検査・大腸カメラ検査で偶然みつかることが多いです。稀に大きくなり潰瘍などを形成した場合に出血することがあります。

検査 胃カメラ検査・大腸カメラ検査により粘膜下腫瘍の有無やサイズ・形状などがわかります。ただし粘膜に覆われているので中の性状まではわかりません。中の性状や悪性かどうかを検査するためにはさらに超音波内視鏡検査を行ったり、穿刺をして組織を採取する必要があります。

治療 大部分のものは治療不要な良性の病変です。ただし中には悪性のものもあるので、定期的に経過観察し、サイズが大きくなってきたり、潰瘍を形成するなど不整な形態があるようなら、超音波内視鏡や穿刺生検など精密検査が必要です。GISTなど悪性の腫瘍であれば手術で切除する必要があります。

胃炎

胃炎とは 胃炎とは胃に炎症が起きている状態で、発赤・びらん・萎縮といった胃粘膜の変化が認められます。胃炎には急性胃炎と慢性胃炎があります。

原因 急性胃炎の原因としては、ウイルスの感染・痛み止めなどの薬物の副作用・ストレスなどによることが多いです。慢性胃炎の中で、最も頻度が高く重要なのが萎縮性胃炎で、ピロリ菌感染により起こります。胃十二指腸潰瘍を伴ったり胃がんの原因にもなるので、検査や治療が必要です。他には稀な特殊な胃炎として自己免疫性胃炎などがあります。また胃は常時食べ物が通過したり酸が流れていたりするので、ほとんどの方で慢性的に軽い胃炎の変化を認めますが、病的な意義はないことが大部分です。

症状 急性胃炎の場合は一過的な腹痛・嘔気嘔吐・むかつきなどが起こることがあります。慢性胃炎のほとんどは症状はありません。

検査 胃カメラ検査により胃炎の有無やその性状が分かります。特に胃炎がピロリ菌に関係していて胃がんの原因になる萎縮性胃炎かどうかを見極めることが重要で、カメラの所見で萎縮性胃炎かどうか、その進行具合も分かります。 さらに原因を確定させるために各種ピロリ菌検査・血液検査などが必要になることがあります。

治療 萎縮性胃炎でピロリ菌がいる場合は除菌治療が必要になります。除菌をすると胃がんが出来るリスクは下がりますが萎縮がなくなるわけではないので、萎縮性胃炎がある方はその後も定期的な胃カメラ検査が必要です。その他の胃炎は無症状であったり自然におさまることが多く必ずしも治療は必要ありませんが、症状に応じて胃薬の服用をしていただくことがあります。

ピロリ菌

ピロリ菌とは

ピロリ菌とは ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリという名称の胃に生息するらせん状の細菌です。強酸性の胃の中でも生息できるようにウレアーゼという酵素を出して胃酸を中和しています。ピロリ菌が胃の中にいると胃は慢性的な炎症を起こします。

原因 ピロリ菌は経口感染であり、汚染した水(井戸水など)や親からの口移しなどで感染すると言われています。現在は衛生環境が改善し、日本でもピロリ菌の感染者は減ってはいますが、依然先進国の中では比較的感染者が多くいます。乳幼児期の免疫力が弱い時期に感染し、何十年も生息します。

症状 ピロリ菌に感染しても通常自覚症状はありません。しかし胃の中では慢性的な炎症が起こっています。胃・十二指腸潰瘍になることもあります。 また慢性的な炎症が長期間続くと胃粘膜が荒廃し萎縮しはじめます。さらに感染が続くと萎縮はどんどん進行していきます。高度に萎縮した粘膜からは胃がんができやすくなります。

症状
症状

症状 ピロリ菌に感染しても通常自覚症状はありません。しかし胃の中では慢性的な炎症が起こっています。胃・十二指腸潰瘍になることもあります。 また慢性的な炎症が長期間続くと胃粘膜が荒廃し萎縮しはじめます。さらに感染が続くと萎縮はどんどん進行していきます。高度に萎縮した粘膜からは胃がんができやすくなります。

検査 ・胃カメラ検査 胃カメラ検査を行うことで萎縮の有無と萎縮の進行具合が分かります。またピロリ菌によって引き起こされる胃十二指腸潰瘍や胃がんがないかを確認することができます。 ・ピロリ菌検査 当院で施行しているピロリ菌自体の検査は以下の3種類です。 ① 迅速ウレアーゼ検査 胃カメラ検査際に組織を採取し、専用の検査キットでピロリ菌感染の有無を判定します。陽性の場合は15分ほどで結果が出ますが、陰性の場合の最終確認には2時間ほどかかります。胃カメラ検査と同時にでき、すぐ結果が出て便利な検査ですが、胃の中のごく一部の組織の検査ですので、陰性になってもピロリ菌感染が完全には否定できません。またPPI、PCABという種類の強い胃薬を飲んでいると偽陰性になることがあります。 ② 尿素呼気試験 専用の試薬を服用し、服用前と服用後の呼気を調べることによってピロリ菌感染の有無を判定します。もっとも精度が高い検査です。ただし6時間以上の絶食をしていないと検査はできません。またPPI、PCABという種類の強い胃薬を飲んでいると偽陰性になることがあります。結果は後日聞きにきていただく必要があります。 ③ 血中抗ピロリ菌抗体測定 血液検査で、血中の抗ピロリ抗体を調べます。食事の制限はなく、胃薬の影響も受けません。ただし過去の感染でも陽性になったり、偽陰性になることもあるので、抗体価の判定には注意が必要です。結果は後日聞きにきていただく必要があります。

治療 ピロリ菌の除菌治療は3種類の薬を1週間飲むだけで行うことができ、負担の少ない治療で済みます。1回の治療で90%程度の方が除菌成功になりますが、ピロリ菌の耐性の問題で、除菌できない方もいらっしゃいます。除菌薬服用後1か月後に尿素呼気試験を受けていただき除菌が成功したかどうかを確認します。除菌できなかった方には種類を変えた別の除菌薬を再度1週間服用していただき、1か月後に尿素呼気試験で判定します。2回治療を行った方は95%以上の方が除菌成功になります。 ピロリ菌を除菌できると胃十二指腸潰瘍になる確率はかなり低くなります。ただし胃がんに関しては危険性は低くなるものの、一度起こった萎縮の変化は残るのでゼロにはなりません。そのため除菌後も定期的に胃カメラ検査を受けましょう。

胃がん

胃がんとは 胃にできるがんで、ほとんどが腺がんというタイプのがんです。腺がんの中でも分化型がんと未分化型がんに分けられます。多くは分化型がんですが、まれに未分化型がんもあり、未分化型がんは若年者にもできたり進行が早かったりするので注意が必要です。

原因 近年胃がんの原因の大部分はピロリ菌と言われています。ピロリ菌に一度も感染したことのないような萎縮のまったくない方が胃がんができることが極めて稀なので、胃がんの原因の99%がピロリ菌に関係しているという報告もあります。

原因01
原因01

原因 近年胃がんの原因の大部分はピロリ菌と言われています。ピロリ菌に一度も感染したことのないような萎縮のまったくない方が胃がんができることが極めて稀なので、胃がんの原因の99%がピロリ菌に関係しているという報告もあります。

ピロリ菌に感染すると胃に萎縮という変化が起き、徐々に進行していきます。萎縮が進めば進むほど胃がんができる危険性が高まります。胃カメラ検査のデータでは、萎縮が軽度の方に比べ、萎縮が高度の方は10倍胃がんやその前がん病変が見つかりました。

原因02
原因02

ピロリ菌に感染すると胃に萎縮という変化が起き、徐々に進行していきます。萎縮が進めば進むほど胃がんができる危険性が高まります。胃カメラ検査のデータでは、萎縮が軽度の方に比べ、萎縮が高度の方は10倍胃がんやその前がん病変が見つかりました。

症状 早期の段階ではほとんど自覚症状がないため胃カメラ検査で偶然見つかることが多いです。進行してくると、腹痛・むかつきなどの症状や出血すると吐血や黒色便などが見られます。症状が出るのはかなり進行している状態ですので、症状が出る前に診断して治療することが重要です。

検査 胃カメラ検査によって胃がんの有無を診断することができます。 また、一般的にごく早期の胃がんは胃炎と似たような形態をしていることが多く、胃カメラ検査でも見つけにくいことが多いです。 当院ではオリンパス社の新しい機器である「EVIS X1」を使用し、NBI(Narrow Band Imaging)拡大観察という特殊な観察法を行うことができます。これによってわかりにくい胃がんも見つけやすくなり、当院院長もこれまで小さな早期の胃がんを多数検出してきました。 *早期胃がんの一例 10mm足らずの早期胃がんです。非常に小さく周りの胃炎の変化と区別しづらいですが、NBI拡大観察することで表面の構造や血管を詳細に観察し、胃炎と区別することができます。

胃がん

治療 早期に発見することができれば負担の少ない内視鏡による治療である粘膜下層剥離術(ESD)により完治させることができます。 進行してきた場合は手術・抗がん剤治療などが行われます。手術をして胃が小さくなるもしくはなくなってしまうとその後の生活にも大きく影響します。 ピロリ菌の検査を行い、ピロリ菌がいる場合は除菌治療をして少しでも胃がんの危険性を下げること、また萎縮がある方はかならず定期的な胃カメラ検査を行い、胃がんがもしできても早期に発見することが大切です。

胃・十二指腸潰瘍

胃・十二指腸潰瘍とは 潰瘍とは粘膜の表層が傷つき、掘れて深くへこんでしまった状態で、粘膜までのへこみであれば「びらん」とよび、粘膜下層より深くへこむと「潰瘍」と呼びます。胃・十二指腸にできた潰瘍が胃・十二指腸潰瘍です。

原因 ピロリ菌が原因となることが多いです。他には痛み止めの薬やストレスなどが原因となります。胃がんが潰瘍をつくることもあります。

症状 腹痛・むかつき・吐き気などが起こります。ひどい潰瘍になると、血管が傷ついて出血したり、非常に深くなって貫通して胃に穴があいてしまう(穿孔)こともあります。出血すると吐血したり真っ黒い便が出ます。胃に穴があくと激しい痛みが起こります。

検査 胃カメラ検査で潰瘍の有無や出血・穿孔がないかなどがわかります。胃がんが潰瘍を作ることもあるので、組織検査(生検)を行って確認します。潰瘍が高度な場合は血液検査やCT検査で貧血や穿孔の状態を確認します。原因を確認するためピロリ菌検査も行います。

検査

治療 PPI・PCABというタイプの胃酸を抑える薬が著効します。出血している場合はカメラで止血処置を行います。穿孔している場合は手術が必要となることがあります。ピロリ菌がいる場合は潰瘍が再発しないように除菌治療が必要です。

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアとは 炎症・潰瘍やがんなど原因となるものがないのに胃の痛み、胃もたれ、胸やけ、吐き気など胃の症状が慢性的に続く状態を機能性ディスペプシアと呼びます。

原因 原因となるような物理的な異常がないのに胃の症状が起きる原因として、胃の機能的な異常が考えられています。食べたものを胃からうまく送り出せない胃の動きの問題だったり、胃酸過多になっていたり、胃の知覚過敏が起きていると考えられます。機能的な異常にはストレスが関与していたり、ピロリ菌の感染が関与している場合もあります。

症状 代表的な症状としては食後の腹部のはり・胃もたれ、すぐに満腹になる、みぞおちの痛み、胸やけなどがあります。そのほか食欲不振・吐き気など幅広い胃の症状を起こします。

検査 胃カメラ検査で炎症・潰瘍・がんなどがないかを検査し、それらを認めないにも関わらず症状が続く場合に診断されます。

治療 生活習慣の改善や症状に応じた薬物療法が行われます。刺激の強い食べ物や脂肪の多い食事、アルコール、カフェインは症状を増悪させるので避けなければいけません。ストレスもかかわってくるので十分な睡眠や休息も重要です。 薬物療法はアコチアミドという消化管の運動機能を調整する薬の他、胃酸を抑える胃薬や、ストレスの多い方は抗不安薬などが効果があります。

食道裂孔ヘルニア

横隔膜の中にある食道の穴に胃が引っ張られ、胃の一部が胸部に飛び出した状態をいいます。治療の必要がない場合が大半です。

逆流性食道炎

胃液を含む胃の内容物が食道に逆流している状態です。食道の粘膜が傷つけられることで、炎症が起こります。

食道がん

胃へとつながる消化管の入り口・食道にできたがんです。周囲の臓器へ浸潤するおそれのある進行度の高い病気です。

食道粘膜下腫瘍

食道の粘膜の下に腫瘍ができている状態をいいます。良性のものが多いものの、まれに悪性のものもあるため注意が必要です。

慢性胃炎

慢性的に胃に炎症が起こっている状態です。炎症、びらん、萎縮といった胃粘膜の変化が認められます。

ピロリ菌

「ヘリコバクター・ピロリ」という細菌で、感染すると胃粘膜が慢性的に炎症を起こし、胃潰瘍や胃がんの原因になります。

胃潰瘍

胃の粘膜が炎症によって傷つき、表層のみならず深部にまで至った状態です。放置すると胃粘膜に穴が開くこともあります。

十二指腸潰瘍

十二指腸の粘膜が炎症によって傷つき、表層から深部にまで至った状態です。放置すると十二指腸の粘膜に穴が開くこともあります。

胃がん

胃の粘膜表層にできるがんのことをいいます。比較的、進行が遅いことが多いですが、スキルス胃がんは進行が早いのが特徴です。

機能性ディスペプシア

胃痛や吐き気(悪寒)、食欲不振など胃の不調が慢性的に続くものの、炎症や潰瘍などの器質的な異常が見つからない状態をいいます。

胃粘膜下腫瘍

胃の粘膜層よりも深い層に発生し、正常粘膜に覆われた腫瘍のことをいいます。多くは良性ですが、まれに悪性もあります。

大腸・肛門の疾患

大腸ポリープ・大腸がん

大腸ポリープ・大腸がんとは 大腸の粘膜の一部がいぼ状に盛り上がったものを総称して大腸ポリープといいます。大腸ポリープには様々な種類があり、多くは腺腫というタイプですが、SSAPという平坦で正常粘膜と同じような色調をしたタイプや、S状結腸などに小さいものが多発する過形成ポリープというタイプなどがあります。大腸がんは多くが大腸ポリープが時間をかけてがん化したものです。腺腫やSSAPはがん化する可能性があり注意が必要です。過形成ポリープは基本的にがん化する可能性はありません。

大腸ポリープ・大腸がんとは

原因 大腸ポリープや大腸がんのできやすさは個人個人で大きく違います。遺伝的要因や加齢の他、欧米的な高脂肪食・肥満・飲酒・喫煙などががん化のリスクを高めます。

症状 大腸ポリープや大腸がんはかなり進行しないければほぼ症状はありません。 がん化してかなり大きくなると出血して血便がでたり、相当大きくなると狭窄をきたし便秘や腹満感を起こしたりひどい場合は腸閉塞になり穴が開いてしまう(穿孔)こともあります。

検査 大腸カメラ検査が最も重要です。症状を起こさない小さながんでも分かりますし、がんになる前のポリープの段階で発見し切除してしまうこともできます。

治療 腺腫やSSAPなどがん化する可能性のある大腸ポリープは、5mm以上になるとがん化のリスクが高くなるため、5mm以上のものは必ず切除しておくことがすすめられます。5mm未満でもすべて取っておくとがん化のリスクが下がり、検査の間隔があけられるので、切除できる範囲であれば切除しておくことが望ましいです。米国の有名な研究で、ポリープをすべて切除すると大部分の大腸がんが抑制されました。

治療01
治療01

治療 腺腫やSSAPなどがん化する可能性のある大腸ポリープは、5mm以上になるとがん化のリスクが高くなるため、5mm以上のものは必ず切除しておくことがすすめられます。5mm未満でもすべて取っておくとがん化のリスクが下がり、検査の間隔があけられるので、切除できる範囲であれば切除しておくことが望ましいです。米国の有名な研究で、ポリープをすべて切除すると大部分の大腸がんが抑制されました。

がん化していても早期に発見することができれば負担の少ない内視鏡による治療である粘膜切除術(EMR)や、早期であれば大きくても粘膜下層剥離術(ESD)により完治させることができます。進行してきた場合は手術・抗がん剤治療などが行われます。 しかし転移をしていると根治が難しくなる場合もありますし、がんの部位によっては人工肛門になる場合もあります。 症状が出てから検査をして見つかっても進行してしまっている可能性が高いので、症状が出る前に40歳を超えたら定期的に大腸カメラ検査を行い、まだ大腸ポリープの段階で切除してしまうことが重要です。またポリープがたくさんあったり大きなポリープやがんができたりした方はまたできる可能性が高いので、繰り返し検査をしてポリープを切除していくことが重要です。

治療02
治療02

がん化していても早期に発見することができれば負担の少ない内視鏡による治療である粘膜切除術(EMR)や、早期であれば大きくても粘膜下層剥離術(ESD)により完治させることができます。進行してきた場合は手術・抗がん剤治療などが行われます。 しかし転移をしていると根治が難しくなる場合もありますし、がんの部位によっては人工肛門になる場合もあります。 症状が出てから検査をして見つかっても進行してしまっている可能性が高いので、症状が出る前に40歳を超えたら定期的に大腸カメラ検査を行い、まだ大腸ポリープの段階で切除してしまうことが重要です。またポリープがたくさんあったり大きなポリープやがんができたりした方はまたできる可能性が高いので、繰り返し検査をしてポリープを切除していくことが重要です。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは 特に潰瘍やがん、炎症など腸の物理的な異常がないのに、腹痛・便秘・下痢などの症状を慢性的に繰り返す病気です。腸管運動の異常や知覚過敏など、機能の異常によって症状が起こります。

原因 はっきりした原因はわかっていませんが、ストレスなどの心理的要因や腸内細菌叢の乱れ、食事内容などが関わっていると考えられています。

症状 下痢型・便秘型・混合型(便秘と下痢を繰り返す)・分類不能型(おならや腹満感が主体になる場合など)に分けられます。主に便通異常と腹痛が主体になります。

検査 物理的な異常がないことを確認する必要があるので、大腸カメラ検査が必要です。他に症状に応じて血液検査や腹部CT検査が行われます。

治療 生活習慣の改善と薬物療法が治療になります。ストレスの少なくなるような規則正しい生活を心がけ、高脂肪食・刺激物・飲酒・喫煙は避けた方がよいです。薬物療法は便通を改善する薬や腸内細菌を整える整腸剤、ストレスが強い方は抗不安薬などが効果があります。

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)

炎症性腸疾患とは 炎症性腸疾患とは腸に慢性的な炎症を引き起こす病気の総称です。代表的な病気として潰瘍性大腸炎とクローン病が挙げられます。

原因 はっきりした原因はわかっていませんが、自己免疫の異常が関わっていると考えられています。そこに遺伝的要因や食事・腸内細菌など環境因子も加わって発症します。近年患者数が激増しています。

症状 潰瘍性大腸炎 直腸から連続して大腸に炎症が起き、びらんや潰瘍ができます。そのため粘血便・下痢・腹痛が起き、重篤になると発熱や体重減少なども起きます。 クローン病 小腸を中心とした全消化管に炎症が起きます。下痢・腹痛・貧血などの症状が起きますが、血便は比較的少ないです。

検査 大腸カメラ検査により診断します。炎症性腸疾患は特徴的な腸の炎症を起こすので、大腸カメラによって多くが診断できます。クローン病などで大腸に炎症がない場合や、大腸に炎症があっても非典型的な場合はCT/MRI/小腸カメラなども行って総合的に診断します。

治療 まずは整腸剤や5-ASA製剤といった比較的副作用の小さい薬物療法が行われます。それでも改善しない場合はステロイド剤や免疫抑制剤・生物学的製剤など特殊な治療が行われます。重篤になると手術が必要になることもあります。

大腸憩室

大腸憩室とは 大腸の壁に5~10mm程度のへこみ(憩室)ができた状態です。

原因 憩室は先天的または後天的に腸管内圧が上昇し形成されます。

症状 多くの場合は無症状で大腸カメラ検査で偶然発見されることがほとんどです。 しかし憩室の血管が破れて出血する憩室出血と、憩室内に細菌が感染する憩室炎を起こすことがあります。その場合は血便があったり、腹痛・発熱が起こります。

検査 憩室の有無は大腸カメラ検査や腹部CT検査で分かります。出血や腹痛がある場合は血液検査も行い、貧血の有無や炎症の程度を確認します。

治療 出血は自然におさまることが多いですが、多量になると入院が必要になったり大腸カメラで止血術が必要となることがあります。また憩室炎の場合は抗生物質の内服もしくは点滴で治療を行います。 出血や炎症を起こしていない場合は特に治療は不要ですが、起こさないためには便秘に気をつける必要があります。

腸炎(感染性腸炎、虚血性腸炎など)

腸炎とは 腸管に炎症が起きた状態です。主に急性の腸炎のことを指します。

原因 急性の腸炎の場合の多くがウイルスや細菌による感染性腸炎です。その他には腸管が便秘などにより過剰に蠕動しすぎたために血液が足りなくなって(虚血)腸炎を起こす、虚血性腸炎も頻度が高いです。

症状 腹痛・下痢・血便が見られます。虚血性腸炎の場合は左下腹部に起こることが多いです。

検査 血液検査・腹部CTなどで貧血や炎症の程度、炎症を起こしている部位を確認します。血便がある場合は大腸がんを除外するために大腸カメラ検査も必要です。

治療 絶食や消化にいい食事などによる腸管の安静、脱水があれば水分補給のための点滴、炎症が強い場合は抗生剤の内服・点滴が必要になることもあります。 通常は数日ですみやかにおさまることが多いです。虚血性腸炎の場合は動脈硬化があったり便秘体質だったりするので、繰り返すことがあります。一度虚血性腸炎になった方は便通をよくするようにしておくことが大切です。

痔とは 痔とは肛門部の病気の総称で正確な病名ではありません。その状態によって、主に痔核(いぼ痔)、裂孔(きれ痔)、痔ろう・肛門周囲膿瘍(あな痔)に分けられます。

原因 主に便秘や下痢など便通異常、過度のいきみ、飲酒、長時間の座位などが誘因となり、肛門部の静脈層がうっ血して静脈瘤となったものが痔核、肛門上皮の亀裂が起きたものを裂孔、細菌感染を起こし肛門管内と交通したものを痔ろうと言います。

症状 内痔核で軽度のものは無症状ですが、便がこすれて出血したり、痔核の脱出が起きたり、裂孔などにより痛みが出たり、感染を起こした場合には発熱があったりします。

検査 視診・直腸診・肛門鏡での診察が行われます。大腸カメラ検査では中から痔核を観察したり、他に大腸がんなどが隠れていないかの確認を行います。

治療 保存的な治療で改善することが多くみられます。便秘や下痢を改善させるために便秘薬や整腸剤の内服をしたり、長時間の座位やいきみすぎなどの生活習慣の改善をしたり、炎症をおさえるための軟膏を使用したりします。それでも改善が乏しい場合や、痔ろうは手術が必要になります。

大腸ポリープ

大腸の粘膜の一部がいぼ状に盛り上がり、大腸の内側の空間部分に突出した状態です。なかにはがん化するものもあります。

大腸がん

大腸粘膜にできるポリープ内の細胞ががん化したものをいいます。やがて腸全体ががん化する腺がんとなります。

過敏性腸症候群

腹痛をともなった下痢や便秘が続き、排便をすると症状が治まるというもので、特に器質的な異常がない状態を指します。

潰瘍性大腸炎・クローン病

腸で起こる炎症性の病気で、原因がはっきりしない非特異性的炎症性腸疾患といわれるものです。

大腸粘膜下腫瘍

大腸粘膜の下から発生した腫瘍のことをいいます。大半は良性ですが、まれに悪性化するので注意が必要です。

大腸憩室

大腸の壁の一部が、外側に向かって小さな袋状に突き出した状態です。腸の内圧が上がると腸壁が押し出されて起こります。

感染性腸炎

ウイルスや細菌、寄生虫などに感染することによって胃や小腸、大腸に炎症が起こる病気です。多くの場合は自然治癒します。

虚血性腸炎

大腸の粘膜に十分な血液が行き届かなくなる(虚血)が原因で起きる病気です。高齢者や便秘ぎみの人に多くみられます。

いぼ痔

肛門部の毛細血管がうっ血し、腫れている状態です。排便時の強いいきみや便秘などによって、肛門部に負担がかかると起こりやすくなります。

切れ痔

排便時の強いいきみや何らかの刺激によって、肛門部の皮膚が裂けたり、切れている状態のことを指します。

痔ろう

細菌感染で肛門部にたまった膿を排出するために、肛門括約筋を貫通するようにトンネルができた状態をいいます。

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